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大通どうぶつ通信 vol.9

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「わんちゃんの心臓病について」


はじめに
わんちゃんの心臓病の中で加齢に伴い最も多く確認されるのが、僧帽弁閉鎖不全症(いわゆる弁膜症)です。早い症例では、4~5歳から発症することもあります。一般的に小型の純血種で多く確認されます(マルチーズ、チワワ、ヨークシャテリア、トイ.プードル、ミニチュア.ダックスフント、キャバリア、シーズーなど)。原因として、さまざまな遺伝的素因が関与していると考えられていますが、現段階では特定されてはいません。一度僧帽弁に異常が発生すると数ヶ月~数年でゆっくりと病態は進行してゆき、元の健康な心臓に戻ることはありません。
今回はこの僧帽弁閉鎖不全症について詳しくお話ししていきます。

僧帽弁閉鎖不全症の症状
僧帽弁閉鎖不全症の主な症状は、運動性の低下(疲れやすくなる)、発咳、呼吸困難の3つです。症状の重さに合わせて軽度~重度に段階分けされます。

軽度から中程度
・疲れやすい(散歩の距離が減る、すぐに座り込んでしまう、いつもとっていた行動をとらなくなる、など)
・興奮した時の咳が増えた

重度
・安静にしている時でも咳が目立つ
・食欲の低下、やせてきた
・呼吸が早く、苦しそう
・歯肉や舌の色が悪い(チアノーゼ)
・失神
このうちチアノーゼや失神が起きるときは、肺に水が溜まっていたり(肺水腫)、肺高血圧という病態になっている可能性があり、命の危険がある状態ですので、すぐに来院してもらう必要があります。

僧帽弁閉鎖不全症の検査と診断
⇒ 聴診、心電図、レントゲン検査、心超音波検査、血圧測定
 僧帽弁閉鎖不全症の場合、聴診で必ず心臓の雑音が確認されます。
どのレベルの雑音なのかを確認します。
 心電図検査にて、波形の異常や不整脈がないかを確認します。
 レントゲン検査では、心臓の拡大や、気管や肺に異常がないかを確認します。
 心超音波検査では心臓の中を見ることができ、心臓のどの部分に異常があって、それがどの程度の異常なのかが確認できます。
 血圧測定することで心臓にどれだけ負担がかかっているかを確認します。
以上の5つの検査をすることで診断します。1回の検査では進行のスピードまではわかりませんので、状況に応じて1から3ヵ月での再検査を行います。

僧帽弁閉鎖不全症の治療
治療薬はさまざまあり、心臓の状態に合わせて処方します。治療の目的は、病気の進行を遅らせ、生活の質を改善することです。治療薬で「心臓の負担をとる・収縮力を改善する・心拍数を抑える」ことでそれを達成します。病気の進行に合わせ、天秤のようにバランスをとって、心臓の状態と投薬内容を調整していくことで良い状態を保っていきます。
また食事も治療の一環です。心臓病は消耗性疾患(慢性的に体力を消費する病気)であるため、適切なカロリーと蛋白質を摂取し、体重が減らないようにする必要があります。また塩分の強い食事は心臓に負担がかかるので与えないように気をつけなければなりません。

さいごに
僧帽弁閉鎖不全症は発症したら進行を止めることはできない病気ですが、早期に発見し、定期的に確認・治療していけば良い状態を維持することが可能です。当院では心臓病のセカンドオピニオンを随時、受け付けております。心臓病かもしれない、治療しているが良くならないなどご心配なことがあればご相談ください。

次回は、ねこちゃんの心臓病についてです。おたのしみに。





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