「去勢・避妊手術について」
はじめに
ご自宅にわんちゃん・ねこちゃんを迎えるにあたり、飼い主のみなさんは去勢・避妊手術を検討する機会があると思います。今回、改めて去勢・避妊手術はなぜするのか、適切なタイミング、手術のメリット、デメリットを、わんちゃん・ねこちゃんそれぞれについてお伝えしていこうと思います。
去勢・避妊手術はなぜ必要なのか
・望まれない妊娠の防止
・性ホルモン関連疾患の予防
・精神的な安定を得る
適切なタイミングとメリット、デメリット
オスもメスも生後6ヶ月が1つのタイミングとなります。
オスのわんちゃん・ねこちゃんの場合、マーキング(スプレー行為)やマウンティング、縄張り意識などを減らすため、この行動が癖になる前に手術する必要があります。また、わんちゃんの場合は中年齢以降(7歳くらい~)に前立腺肥大、精巣腫瘍、会陰ヘルニア、肛門腫瘍などが見られることがあり、去勢手術はその予防となります。
メスでは、わんちゃんの場合、発情出血、偽妊娠に伴う巣作り行動や乳汁分泌の予防、ねこちゃんの場合、激しい鳴き声、異常なすりつき、不適切な排尿、逃走を予防できます。またわんちゃん・ねこちゃん供に、中年齢以降の子宮疾患(蓄膿症や水腫)の予防になります。
そして避妊手術の大きなメリットとして挙げられるのが、乳腺腫瘍の予防です。これには、手術を実施するタイミングが非常に重要になってきます。
乳腺腫瘍はわんちゃんの場合50%が悪性、ねこちゃんでは実に90%が悪性と言われています。避妊手術をした場合の具体的な予防効果は以下の通りになります。
乳腺腫瘍(悪性)予防効果について
わんちゃんの場合
手術時期 |
発生予防率 |
初回発情前 |
99.5% |
1回発情後 |
92% |
2回発情後 |
74% |
3回発情後以降の手術は、悪性腫瘍への予防効果はないと言われています。
ねこちゃんの場合
手術時期 |
発生予防率 |
6ヵ月齢まで |
91% |
1歳まで |
86% |
2歳まで |
11% |
2歳以降の手術は、悪性腫瘍への予防効果はないと 言われています。
避妊、去勢手術のデメリットは基本的にありません。しかし、ホルモンバランスの変化により太りやすくなります。そのため食餌内容や食餌量を見直し、体重管理をしっかりしてあげる必要があります。
健康な子に手術をするとなるとためらってしまう飼い主さんもいらっしゃるかと思いますが、長い目で見るとわんちゃんねこちゃんの身体にとってプラスになることばかりです。迷われてる方は一度ご相談くださいね。
次回の大通どうぶつ通信はわんちゃんの心臓病についてです。お楽しみに。