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大通どうぶつ通信 vol.22

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「ねこちゃんの下痢について」


はじめに
今回はねこちゃんの下痢についてお話します。
下痢はご自宅で確認しやすい症状のため、ご相談が多いトラブルの1つです。
下痢は、大きく分けて急性なのか、慢性なのか、また小腸性なのか大腸性なのかに分かれます。
急性下痢とは1~2週間のうちに治り再発しない下痢のことです。一方、慢性下痢は3~4週間にわたり再発を繰り返す下痢です。
小腸性下痢とは食物の消化·吸収が悪くなった下痢のことで、通常よりも量が多い軟便から下痢が出ます。大腸性下痢は腸内細菌叢が乱れて大腸での水分の吸収が悪くなり、便の形状が保てていないような水様性下痢が出ます。

    また、下痢を起こす疾患には以下のようなものがあります。
  1. ① 食事性:急な食事変更、大量の食事、冷えた食事、食物アレルギー
  2. ② 消化管の疾患:寄生虫、腸炎、異物、イレウス、腫瘍
  3. ③ 膵臓の疾患:膵炎、膵外分泌不全
  4. ④ その他ホルモン疾患
ご自宅で下痢の症状を確認した際のポイントをのせていきますので今後のご参考になればと思います。


下痢の際の確認事項
  • どのくらいの期間下痢が続いているか
  • 1日の排便の回数、しぶり(何度も排便ポーズをとるが出ない)の有無
  • 便の性状(便の量、消化できているか、色の変化、臭い、粘液や血液の付着)
  • 食事の変更があったか(食事との相性)
  • 食欲や飲水量の変化はないか
  • 体重減少がないか
  • 活動量の変化はないか
  • 吐き気や口臭の変化
  • 環境の変化はないか
  • ワクチン接種歴の確認
  • 投薬している薬の副作用
  • 猫免疫不全ウイルス(FIV)や白血病ウイルス(FeLV)の有無
細かく載せましたが、スムーズに診断に繋げるために重要な項目となります。年齢によっても疑われる疾患の優先順位が異なります。

診断に繋げる検査項目
  1. ① 口腔内チェック:口腔粘膜の色調(貧血·黄疸の有無)
  2. ② 全身の触診:脱水症状がないか、リンパ節の腫れがないか、甲状腺の腫大がないか(甲状腺機能亢進症)
  3. ③ 腹部の触診:腸管の肥厚や腫瘤がないか·腹水がないか·圧痛(お腹を圧迫して痛みがでること)の確認
  4. ④ 直腸検査:直腸の狭窄や腫瘤がないか
  5. ⑤ 糞便検査:腸内細菌叢を確認·寄生虫の有無(後ほど便の色の変化から推測される病気や便検査について記載します)
  6. ⑥ レントゲン検査:レントゲン不透過性の異物の確認
  7. ⑦ 超音波検査:消化管の動きや腫瘍の有無、リンパ節の異常、腸閉塞の有無などが確認できる有用な検査
  8. ⑧ 血液検査:一般的な検査項目では消化管の評価が出来る項目はあまりありません。しかし下痢の原因が消化管以外である場合(甲状腺機能亢進症·膵炎·膵外分泌不全·FIV·FeLV·猫伝染性腹膜炎ウイルス[FIP]など)は特殊な血液検査で診断可能です。

糞便について
便はその性状や臭い、色などから様々な情報が得られます。
また、便検査をすることで様々な下痢の原因がわかります。
  1. ① 色調
  1. 茶色の便⇒正常
  2. 黄色い便⇒⇒脂肪便⇒慢性腸炎・消化器型リンパ腫・膵外分泌不全の可能性
  3. 緑色の便⇒⇒消化管での胆汁の再吸収の低下・草の誤食⇒慢性腸炎・消化器型リンパ腫の可能性
  4. 赤い便⇒⇒下部消化管の出血⇒下部消化管の潰瘍・炎症・腫瘍の可能性
  5. 黒い便⇒⇒上部消化管の出血・鉄剤やビスマス製剤の服用⇒上部消化管の潰瘍・炎症・腫瘍の可能性
  6. 灰色の便⇒⇒消化管内の胆汁や膵液分泌の低下⇒胆管閉塞・膵外分泌不全の可能性

便の臭いが普段より強い場合、消化不良を起こしていたり、すえたような酸っぱい臭いの時は膵外分泌不全などの病気が考えられます。
  1. ② 糞便検査の評価項目
    便検査では以下のような項目を確認し、下痢の原因を探ります。
寄生虫検査:浮遊法·ジアルジア検査·遺伝子検査
腸内細菌検査:直接法·細菌培養·グラム染色
ウイルス検査:パルボウイルス·遺伝子検査
未消化物検査:脂肪·でんぷん質の確認
細胞診:異常細胞や潜血の確認

最後に
成長期のねこちゃんで下痢を起こす場合は、寄生虫の存在や食事の内容が体に合っていないケースが多く見られます。一方、中高齢のねこちゃんで慢性的に下痢をするようになり、体重の低下を伴う際には腫瘍性疾患の関与が高くなります。各年齢で疑われる疾患が変わりますので、下痢が続く際には早めにご相談ください。






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