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大通どうぶつ通信 vol.23

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「ねこちゃんの肥満細胞腫について」


はじめに
今回はねこちゃんの皮膚腫瘍の中のひとつである「肥満細胞腫」についてお話します。
わんちゃんと比べ、ねこちゃんの皮膚に出来るしこりは悪性の腫瘍の割合が高いとされています(例:満細胞腫・扁平上皮癌・線維肉腫など)。肥満細胞腫はねこちゃんの皮膚に発生する腫瘍のうち6.8~21.1%を占めており、日常的に出会うことの多い腫瘍です。おうちのねこちゃんの皮膚にしこりがあると感じた場合は早めに診察にいらしてください。今回はこの皮膚肥満細胞腫のについてお伝えしたいと思います。


1 年齢と品種
一般的に中~高齢で多く、発生年齢の中央値は10~11歳齢と報告されています。しかし、1歳未満から20歳齢のねこちゃんに至るまで幅広い年齢で発生する可能性があります。シャム、バーミーズ、メインクーン、ラグドール、ロシアンブルーは発生リスクが高いことが知られています。


2 発生部位
頭部や頚部や眼の周囲、特に耳介が多く、体幹部・四肢にも見られることがあります。通常単体のことが多いですが、中には複数個同時に発生することもあり、5ヶ所以上の腫瘤が同時に確認される場合は予後が悪いことが示唆されます。一般的に腫瘤の大きさは0.5~3㎝と小さく、表面に毛が無くピンク色をしています。時に表面が潰瘍化していたり、痒みを伴うものもあります。
また、肥満細胞腫が脾臓や消化管に発生する「内臓型」の肥満細胞腫というものも存在し、皮膚型と同程度の発生率とされています。


3 症状
皮膚肥満細胞腫のねこちゃんは、皮膚に腫瘤があること以外は無症状です。ただ、皮膚腫瘤が広範囲に広がる場合や、内臓型肥満細胞腫(脾臓・消化管)の転移性病変として皮膚腫瘤が確認された場合は、元気消失・食欲低下・下痢・嘔吐・体重減少などの全身症状が認められる場合もあります。


4 検査
診断は、腫瘤に細い針を刺して細胞を確認する、細胞診という検査で判断します。また必要に応じ、脾臓や消化管のエコー検査や、血液検査、血液塗抹の確認をします。
  1. ※  皮膚肥満細胞腫の7%で脾臓にも病変が認められ、また脾臓の肥満細胞腫の17~30%で皮膚にも病変があったと報告されています。


5 治療について
  1. ① 外科手術:肥満細胞腫に対する治療の第一選択になります。手術での完全切除率は50~80%と言われています。ねこちゃんの肥満細胞腫は前述したとおり、耳介や眼の周囲など完全切除が困難な部位にできることが多いので、このような結果が報告されていると思われます。局所再発率は0~33%と報告されています。ただ比較的多くの場合、外科手術で良好な結果が期待できます。
    脾臓に肥満細胞腫が発生した場合も、麻酔をかけられる状態であれば脾臓摘出が適応になります
  2. ② 放射線療法:適応となる治療法ですが、外科手術より有効であるという報告はありません。現在、治療として進めることはありません。
  3. ③ 化学療法:この治療についても基本外科手術で対応しきれることが多いため第一選択となることはありません。腫瘍の発生部位や大きさにより、完全切除が困難な場合や、病変が多く取りきることが困難と判断される場合にのみ勧めることがあります。
    いくつかの種類の抗がん剤がありますが、どの抗がん剤が最も効果があるかの比較研究は報告されていません。
    しかし肥満細胞腫の中でc-kit遺伝子という遺伝子に変異を伴うものは、特定の抗がん剤が効果を示すという報告がされているため、その検査をもとに抗がん剤の選択を行います。


最後に
ご自宅のねこちゃんの皮膚にしこりがある事に気がついたら、早めにご相談ください。皮膚肥満細胞腫やそのほかの悪性腫瘍の可能性もありますから、積極的に検査をしましょう。肥満細胞腫を早期に発見できた場合の多くは、外科手術で対応可能でその後の予後も良いです。
毎日のスキンシップの際に全身をよく触って異常がないか確認してみましょう。






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