① 外科手術:肥満細胞腫に対する治療の第一選択になります。手術での完全切除率は50~80%と言われています。ねこちゃんの肥満細胞腫は前述したとおり、耳介や眼の周囲など完全切除が困難な部位にできることが多いので、このような結果が報告されていると思われます。局所再発率は0~33%と報告されています。ただ比較的多くの場合、外科手術で良好な結果が期待できます。
脾臓に肥満細胞腫が発生した場合も、麻酔をかけられる状態であれば脾臓摘出が適応になります
② 放射線療法:適応となる治療法ですが、外科手術より有効であるという報告はありません。現在、治療として進めることはありません。
③ 化学療法:この治療についても基本外科手術で対応しきれることが多いため第一選択となることはありません。腫瘍の発生部位や大きさにより、完全切除が困難な場合や、病変が多く取りきることが困難と判断される場合にのみ勧めることがあります。
いくつかの種類の抗がん剤がありますが、どの抗がん剤が最も効果があるかの比較研究は報告されていません。
しかし肥満細胞腫の中でc-kit遺伝子という遺伝子に変異を伴うものは、特定の抗がん剤が効果を示すという報告がされているため、その検査をもとに抗がん剤の選択を行います。