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大通どうぶつ通信 vol.16

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「わんちゃん・ねこちゃんの輸血について」


はじめに
今回はわんちゃん・ねこちゃんの輸血についてお話します。
「輸血」という治療がわんちゃん、ねこちゃんにも存在することは、実はあまり知られていません。現在の日本の動物医療では、人のような血液バンクは法的に認められていないのが現状で、現場では慢性的な血液不足の状態にあります。しかし輸血が必要な病気は緊急を要するものが多く、血液が足りないために最善の治療ができないこともあります。そのため、最近では各病院で輸血のドナー登録をしていただき、血液が必要な時に採血させてもらう、という方法が増えています。
当院でも、ご協力いただける患者さんに輸血のドナー登録をして頂き、輸血が必要な子がいる際にその都度献血をお願いしています。今回は、輸血が必要になる病気、わんちゃん・ねこちゃんの血液型、ドナー(献血をする側)になる上での選定基準、実際に輸血を実施するまでの工程についてお話していきます。

輸血が必要になる病気
体の中の血液成分が足りなくなったときに輸血を行いますが、足りなくなる原因は様々です。
  1. ① 大量に出血したとき(手術・事故・出産など)
  2. ② 血液の成分を作れないとき(白血病・再生不良性貧血・抗がん剤)
  3. ③ 血液の成分が大量に消費されるとき(がん・感染症・その他重症の内臓疾患など)
  4. ④ 血液の成分が壊されるとき(自己免疫性の溶血性貧血など)

血液型について
わんちゃん、ねこちゃんにも血液型があります。血液型が合わないと基本的には輸血ができません。
わんちゃん
DEA1.1(+)かDEA1.1(-)
一般的なのはDEA1.1(+)の血液型です。
ねこちゃん
A型、B型、AB型
A型が一般的で、B型はまれ、AB型はさらにまれです。
血液型の判定には、専用の検査キットを使用します。
健康診断時に、ご家族の動物たちの血液型を検査しておくのもよいかもしれません。

ドナー(献血をする側)になる上での選定基準
ドナーになっていただくためには多くの条件をクリアしていなければいけません。
  1. 年齢:満1歳から8歳までが望ましいです。
  2. 性別:特にありません。去勢及び避妊を済ませている方が望ましいです。また雌であれば、妊娠、出産経験がないほうが望ましいです。
  3. 生活環境:わんちゃんの規定はありません。ねこちゃんの場合は完全室内飼育(同居猫も含めて)であることが条件となります。
  4. 必要な予防:わんちゃんは5種以上の混合ワクチン接種、狂犬病ワクチン接種、フィラリア・ノミダニの予防が実施されていることが条件です。一方、ねこちゃんは、3種以上のワクチン接種、ノミダニ予防が実施されていることが条件となります。
  5. 感染症の有無:感染症にかかっていないことはドナーとして重要な条件です。わんちゃんの場合、フィラリア症、バベシア症、ブルセラ症、ヘモプラズマ症などに感染していないことが条件です。ねこちゃんの場合、エイズ、白血病、ヘモプラズマ症などに感染していないことが条件です。

また海外渡航歴がないか、過去に輸血をしていないか(輸血をされたことがある子はドナーにはなれません)、既往歴がないか、治療薬の投薬有無なども確認しています。


実際に輸血を実施するまでの検査
ドナーになっていただいて実際に輸血をするときの流れをご紹介します。

実際に輸血を実施するまでの検査


このようにたくさんの検査をクリアして初めて輸血が実施できます。

  • 献血の採血の際、大量の血液が必要で採血に時間がかかる場合などは、軽い鎮静をかけて採血をさせてもらうことがあります。
  • 最大献血量は、わんちゃんの場合1kgあたり20ml、つまり10kgの子だと200mlほど、ねこちゃんの場合1kgあたり10ml、つまり5㎏の子だと50mlほどになります。献血量は貧血の子の状態によって決まります。必ずしも毎回、最大献血量を採血するわけではありません。

さいごに
日々の診療の中、輸血が必要と判断される動物たちは突然来院されることが大半です。動物医療の現場では、必要な時に適切な血液を得ることが困難であり、タイムロスが生じてしまうのが現状です。そのため、当院では輸血ドナーとして参加登録していただけるご家族を随時募集しております。ドナー特典として、頂いた血液で健康診断(無料)を実施、お迎えの際にはフードなどのプレゼントをご用意しています。また採血した分の輸液を行い、健康上異常がない状態でご家族のもとにお返ししています。ご興味のある方はぜひ、ご来院時にスタッフにお声がけください。





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