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大通どうぶつ通信 vol.12

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「わんちゃんの糖尿病について」


はじめに
みなさん、糖尿病ってなじみがありますか?人では、世界でも国内でも、その患者数は毎年増加傾向にあります。2015年の報告では、世界の成人の11人に1人が糖尿病であると発表されています。
実は動物にも糖尿病は存在し、人と同じように治療が必要になります。
そこで今回はわんちゃんの糖尿病についてお話していこうと思います。わんちゃんの糖尿病有病率は0.1~0.3%程度と言われていて、トイプードルやテリア系のわんちゃんで多い傾向にあります。

体内の血糖値は、上昇させるいくつかの種類のホルモンと、低下させる唯一のホルモンであるインスリンによって一定の値に保たれています。この仕組みが破たんしてしまうと、高血糖であっても低血糖であっても、身体にとって致命的なダメージを与えます。
糖尿病は体内のインスリンが不足することで持続的に高血糖になる病気です。飼い主さんは、飲水量、尿量が増えた、食欲が増えているのにやせてきたなどの主訴で来院される場合や、反対に元気や食欲がなくなっているといったような主訴で来院されることが多いです。一度糖尿病と診断されたら、インスリンによる治療が必要になります。この病気の治療目的は、血糖値を下げて正常な数値に保つことはもちろんですが、白内障、網膜症、腎症といった合併症を引き起こさないということにもあります。

原因
インスリンは膵臓という臓器のなかのβ細胞というところで作られています。この膵臓のβ細胞の減少や破壊によってインスリンが作られないタイプと、インスリンは作られているのだけれど様々な原因によって効かなくなっている(インスリン抵抗性)タイプに分かれます。
膵臓のβ細胞の減少や破壊のタイプは、自己免疫の関与、膵炎、先天性のβ細胞低形成(若年性の糖尿病)などが原因で起こります。
インスリン抵抗性のタイプは、発情や妊娠時のホルモンの影響、ステロイドなどの薬の影響、他の内分泌疾患を患っていることなどが原因で起こります。また、直接の原因ではありませんが、人と同じように、肥満はリスク因子のひとつになります。

症状
特徴的な症状は、多飲、多尿、体重減少です。体重1kgあたり100ml以上お水を飲んでいると多飲と判断されます。その他、原因により異なりますが、進行すると食欲や元気の消失、消化器症状を示します。

診断
・血液検査:持続的な高血糖、空腹時高血糖などの確認
・尿検査:尿糖が出ているかの確認
・エコー図検査(必要に応じて)

治療内容
基本的な治療の軸は以下にあげるようなものがあります。
・インスリン療法:自宅での注射による治療
・食事療法:食後の急な血糖値の上昇を防ぐ食事
・適度な運動:毎日一定の散歩をして筋量を維持する
・避妊手術:発情によりインスリン抵抗性になるのを防ぐ

治療目標
治療内容」で示したような治療を行い、血糖値を80~180mg/dl(健康な子の正常値は75~130㎎/dlくらい)に維持することが目標です。ご自宅での治療の効果判定としてわかりやすいのが飲水量です。血糖値が目標値で維持できていると、ご自宅での飲水量は目に見えて減少します。高血糖にさせないことで合併症である白内障の進行を遅らせ、また血管障害が原因とされる網膜症、糸球体腎症を予防します。

病院へは、体調に合わせて1週間~1ヵ月ごとに通院してもらい、血糖値測定や尿検査をして数値が適度に保たれているか確認します。治療をしているのにご自宅での飲水量が変わらず多い場合や、いったん少なくなったのにまた多くなってきた場合、食欲が落ちてきた場合などの状態は、インスリン量が足りてないことを示します。また、注射後しばらくしてぐったりしてしまった、痙攣を起こしている、などの状態はインスリン量が多すぎて低血糖を起こしていることを示します。すぐに病院を受診してください。

さいごに
治療目標」でもお話ししたように、糖尿病は治療前も治療中も1日の飲水量を確認することがとても重要です。ご家庭のわんちゃんの1日の飲水量をこの機会にぜひチェックしてみて下さい(1日分のお水※をペットボトルに用意し、そこからお水を器に注ぐ。丸一日経って器に残った量とペットボトルに残った量を計量カップで計る。※1日分の正常なお水の量は体重1kgあたり60ml以下)。飲水量が多いかも!?と思った場合はお気軽にご相談ください。病気の早期発見につながることもあります。
糖尿病はご自宅での注射や食事の管理など、大変なことも多い病気ですが、しっかりコントロールできていれば長生きできる病気です。
しかしそれには飼い主さんたちのご協力が欠かせません。もしご家庭のわんちゃんが糖尿病を発症したら、病院と二人三脚で頑張っていきましょう。

次回はねこちゃんの糖尿病についてです。お楽しみに。





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